あなたに挑戦して欲しい問題がある。
僕が小学校で講演をするときによく使う問題で、小学生たちが「絶対に無理だって!」と文句の声を上げながらも、楽しく取り組んでくれる問題である。
*動画を見るのがカッタルイ人は、以下文字バージョンでやってくれ。
やり方は単純。これから見せる数字を、30秒間で、できるだけ覚えるだけ。
さて、はたして、あなたは小学生に勝てるだろうか?
96828246492379581402653510
(実際に30秒計りながら、やってみて欲しい)
さて、いかがだっただろう。
小学生たちはこういうクイズは大好物なので30秒間真剣に取り組んでくれ、2/3くらいまで覚える。が、全部は無理なので「こんな長いの覚えられないよぉ」と文句の声が必ず上がる。
「じゃあさ、こうやって覚えたらどう?」
と、僕はそこで言い、こんな文字を見せるのだ。
黒いハチ庭に 968282
よろしく兄さん 464923
泣く怖いしまじろう 795814026
ゴミ御殿 53510
そして、こう言う。
「ゴミ御殿の庭に、兄さんと怖いしまじろうがいて、そこに黒いハチが飛んでくる。しまじろうは泣いてるから、兄さんよろしく! このイメージを頭の中に絵でしっかりと思い浮かべながら、30秒間、もう一度数字を覚えてみよう」
すると…
結果は、ご想像通り。
ほとんどすべての子が、数字を最後まで正確に言ってのける。大きな声で、嬉しそうに!
その盛り上がりを捉まえて「イメージの力がいかに大きいか」を話し、「夢を叶えるためには、夢を強くイメージすること」「思い浮かべるのが苦手な人は、夢を紙に書いていつも見る場所に貼っておくこと」と結んで、この講演は終わっていくのだが…
このブログは、
サブリミナルリンク。
いまご紹介したイメージする力を使って相手の無意識に介入し、自分の望む方向に「相手を誘導する」方法を、三段階にわけてご紹介していこう。
- 心理テクニックが微塵もない例
- マイ・フレンドジョン・テクニックを使った例
- かなり強力ないわゆる「サブリミナルリンク的」方法
1,心理テクニックが微塵もない例
話を具体的にするためシチュエーションとして、簡単に以下を設定する。
ある日。営業マンのあなたは、商品の問い合わせをしてきた見込み客の元にセールスに向かった。あなたの商品のセールスポイントは「費用対効果が他社製品に比べて3倍高い」こと。逆にウィークポイントは「金額が高い」こと。なのであなたは、金額の話の前に「費用対効果が他社製品に比べて3倍」というメリットを強調して伝えないといけない。
前提は、OK?
じゃあ、目の前のお客さま(見込み客)に、まずは一般的なやり方でセールスをしてみよう。
今回はお問い合わせをいただき、ありがとうございます
わざわざご足労いただきすいません
とんでもありません! 早速ですが、今回はどうしてお問合せを?
サイトを拝見していて、ちょっと気になったんですよ
どのあたりですか?
費用対効果について応用範囲が広そうなところです
さすがですね。その通りです。この商品は、他社製品に比べて費用対効果がグンと高いことが特徴なのです。少し工夫をしていただくとなんと3倍までいけます! 2倍でも信じられないのに3倍です! 通常では考えられないハイパフォーマンスだと思いませんか? ぜひこの点について、これから詳しくご説明させてください!
(本当かよ? 怪しいな。簡単には騙されないぞ)
それはすごいですね。ということは金額も張るんでしょうね。一体、おいくらなんでしょう?
…金額ですか……
(言いたくないのか。これは早々にお引き取り願うか)
ええ、金額をお願いします。それによって、詳しい説明を聞くかどうか決めるので。
そして、あなたは金額を言い、結果、商談決裂。よくある話だ。
売り手が自分の商品を褒めれば褒めるほど、買い手は「本当かよ」と警戒心を抱く。そして一旦警戒心が出てきてしまうと、もうその商談が上手くいく可能性はほとんどない。
では、どうしたらいいか?
この場合の対処法として、セールステクニック集などでよく紹介されているのが「マイ・フレンド・ジョン・テクニック」。「xxさんが言っていましたが」と、伝えたい内容を第三者の言葉として相手に伝える方法だ。
では、実際「マイ・フレンド・ジョン・テクニック」を使ったらどうなのか、先ほどとまったく同じシチュエーションで会話を見てみよう。
2,マイ・フレンド・ジョン・テクニックを使った例
今回はお問い合わせをいただき、ありがとうございます
わざわざご足労いただきすいません
とんでもありません! 早速ですが、今回はどうしてお問合せを?
サイトを拝見していて、ちょっと気になったんですよ
どのあたりですか?
費用対効果について応用範囲が広そうなところです
さすがですね。その通りです。先日ご契約いただいたお客さまの話なんですが「少し工夫をしたら費用対効果が他社製品に比べてなんと3倍なった」と大変、喜んでいただいています!
え! 3倍までいけるんですか?
そうなんですよ! 先ほどのお客さまも驚かれていました
(3倍は魅力的だけど、その分、高いんだろうな。まず金額から聞いてみるか)
ありがとうございます。3倍はとても気になるのですが、でもその前に、大体の金額を教えていただけますか。それによってはお話を聞く時間がお互いにロスになることもありますので
…金額ですか……
(言いたくない? これは相当高いのかな?)
ええ、お願いします
いかがだろうか。
「マイ・フレンド・ジョン・テクニック」を使うことによって「売込み感」がなくなり、あなたの言いたいことが相手の警戒心をすり抜けたのは、分かっていただけたと思う。
だが!しかし! それでも最後には金額を聞かれ、商談不成立となった。相手の無意識が警戒心を完全に解いていないために起こってしまった失敗だ。
ここで登場するのが、「イメージする力」。
人は、欲するイメージを強く持つとそれに抗えないようにできているから、魅力的なイメージを想い描いてしまった時点で行動せざるを得なくなる。そんな「イメージ」を、相手の頭の中に植え付けていくのだ。
実際の会話ではどうすればいいのか、「マイ・フレンド・ジョン・テクニック」に上乗せする形で見ていくことにしよう。
イメージする力で相手の無意識に介入してみる
今回はお問い合わせをいただき、ありがとうございます
わざわざご足労いただきすいません
とんでもありません! 早速ですが、今回はどうしてお問合せを?
サイトを拝見していて、ちょっと気になったんですよ
どのあたりですか?
費用対効果について応用範囲が広そうなところです
さすがですね。その通りです! ここだけの話、御社に伺う前に先日ご契約いただいた方のところにお邪魔していたんですが「裏技を使ったら、費用対効果がグンと上がった」と、とても喜んでいらっしゃいました!
裏技なんてあるんですか?
ええ、本当はしゃべっちゃいけないんですが、あるんです(笑)。一体その裏技でどれくらい費用対効果が上がったと思いますか?
グンと上がったと言うんだから…
はい
2倍くらい?
2倍ですか! そんなに上がったらものすごくいいじゃないですか!
ですよね。さすがに2倍は言い過ぎですか
ところが、実は、3倍なんです
え? 3倍ですか!!!
はい、私も信じらなくて何度も確かめたんですが、確かに3倍でした
それはすごいな
3倍になったら、色んなことが変わると思いませんか?
そうですね、大きく変わりますね
一番大きく変わるのはどこでしょう?
一番といえば…(以降、イメージが膨らむ)
そして相手はイメージを膨らませ、どうしても欲しくなり…いや、これ以上は蛇足だろう。
今回ご紹介した「イメージする力」と「マイ・フレンド・ジョン・テクニック」、簡単に使える割にとても効くスキルなので、ぜひ使ってみて欲しい。
color illustration たかみまさひろ