こんにちは、助手です。
プラシーボ効果が治療に効くというのは、博士と行なった本講座でもお話した通りですが、今回は一歩進んで、予防としてプラシーボ効果を使う方法をお伝えしてきます。
あなたは予防注射する派? しない派?
昭和のはじまりの頃には、「お母さん、お腹が痛いよう」とお子さまが言ったとき「これ、お薬だからね」とちょっとだけ小麦粉をなめさせる。するとお子さまの腹痛が治まった、といった事例がたくさんあったと聞いております。
まさにプラシーボ効果の良例です。
平成に入ると、さすがに小麦粉をお子さまに与えるお話は聞かなくなりましたが、代わりに「私はずっと健康でいられる」「絶対に病気はしない」 と思いこ込むことでプラシーボ効果が聞き、本当に風邪もひかない人が増えているとのことです。
私は、こうした「健康とプラシーボ効果の関係性」に興味を持ち、インフルエンザの予防注射を例に研究してみました。
さて、ここであなたに質問です。
あなたは「予防注射をすればインフルエンザにかからない」と思う派ですか? それとも「予防注射をするとインフルエンザにかかっちゃう」と考える派ですか?
私は前者で毎冬かかさず予防注射を行なっておりますが、そんな私に博士は決まって
くわばら、くわばら。予防注射をした助手君はインフルエンザになるに違いない。近寄るのはやめておこう
と言うので、博士は後者の派閥で間違いありません。
あなたはどちらでしょう?
そして、両極端の方がいらっしゃるのはなぜでしょう?
プラシーボ効果とインフルエンザワクチン有効率の関係とは?
あなたがどちらの派閥の方でも、覚えておいていただきたい事実があります。インフルエンザワクチンの有効率です。
調べ始めて私はがく然としたのですが、インフルエンザの予防注射=ワクチン接種は全員に効き目があるわけではなく、その有効率は60%と言われているのです。
インフルエンザワクチンは流行を予測してワクチンを作っているために、その予想が外れた年は効果が低いことも知られていますが、健康な成人ではおよそ60%程度の発症を防ぐ効果があると考えられています。
「インフルエンザワクチンの有効率がおよそ60%」と説明すると多くの人は「100人が予防接種を受けたら60人は発病しない」という意味に考えるかもしれませんが、インフルエンザワクチンの有効率の考え方は実はそうではありません。
理解しやすい例を示します。ある小学校に40人の学級が1組、2組と2つある学年があったとします。合計人数は80人です。80人全員が予防接種を受けなかったとしても、全員がインフルエンザになるわけではありません。インフルエンザの発病が多くて学級閉鎖をした年もあれば、欠席者が少なくて比較的穏やかな年もあるはずです。
この学年の1組は、40人のクラス全員が誰もインフルエンザの予防接種を受けず、一方2組は、40人のクラス全員が予防接種を受けたとします。全員が予防接種を受けなかった1組からその冬に10人のインフルエンザ患者が発生して、全員が予防接種を受けた2組からは4人がインフルエンザを発病したとします。もし2組の全員がインフルエンザ予防接種を受けなければ、おそらく1組と同じように10人の患者が発生したと予想されます。実際に発病したのは4人ですからインフルエンザワクチンを受けることによってインフルエンザの患者が6人少なくなりました。この「10人から6人減らした」ことが有効率60%という意味です。
もしも予防接種を受けた2組からの患者発生が0人なら有効率100%、逆に2組から10人が発病すれば、予防接種を受けなかった1組と一緒ですから予防接種には効果なし、つまり有効率は0%と計算されます。
<「インフルエンザワクチンの有効性」アステラス製薬より>
少々ややこしいので、乱暴を承知で簡単にまとめてしまいましょう。
インフルエンザの予防注射は「思っているより効きません」。
毎冬、予防注射をしていた私にはショッキング事実でした。
ところが「予防注射をすればインフルエンザにかからない」と信じている人に、私がこの事実を伝えても「数字なんてあてないならないよ、いままで予防接種をしてきたからインフルエンザにならなかった。だから今年も続けるよ」と、まったく歯牙にもかけてもらえません。そして彼らは例年通り予防注射し、例年通りインフルエンザにかからないのです。
「予防注射するとかかっちゃうからしない」と思い込んでいる人もまったく同じです。例年通り予防注射しなくて、例年通りインフルエンザにかかりません。
このように両者とも科学的な有効率を超えて効果を出しているのは、プラシーボ効果の証明と言わざるを得ないでしょう。そして私の研究を補強してくれる事案として、ノシーボ効果も認められました。
すなわち「予防注射をすればインフルエンザにかからない」と言っている人が、なんらかの事情で予防注射を忘れると、マイナスのプラシーボ効果、いわゆるノシーボ効果が働いて、高い確率でインフルエンザにかかってしまうという事例です。
「予防注射する派」の皆さま、どうぞお気をつけください!
ノシーボ効果をご存知ない方は、以下をご覧ください
朝晩30秒のプラシーボ効果で健康をキープする秘訣
このように効果があるプラシーボ効果を、健康のために使わない手はありません。具体的にやっていただくことは簡単です。
「私は毎日、ますますよくなっている」という類いの言葉を朝晩30秒くらい唱え続けてみてください。その言葉が無意識に入って、「無意識の力」があなたを健康にしてくれるでしょう。
もちろん、副作用はまったくありません。タイミングとしては、意識が弱まり無意識が活性化される、寝る前や入浴中に行うのがベストです。
健康になりたければまず、薬より思い込みの力=プラシーボ効果を使いましょう!