詐欺と心理テクニックは「どちらも相手の心を読む」点において同じであり、「切っても切れない腐れ縁」のようなところがあるから、詐欺について調べるのは好きだ。
そこへマジで心ウキウキな企画が少し前に進んだことに関係して詐欺についてより調べる必要が出てきたから、検索しては多少怪しいと思ってもメールアドレスを登録していたら、やたらに詐欺メールが来るようになった。
詐欺メールは、大体が大手企業の名を語ってフィッシングサイトに連れて行き、そこで個人情報を根こそぎ抜くっていうのが常道だ
いまの世の中、詳細な個人情報はとてもいい値がつくからね。しかも迂闊な人だと、クレジットカードの情報までゴッソリ抜かれ、身に覚えのない高額請求に震えることになるからマジで気をつけて欲しい。
と言いつつ、どれもこれもがなかなかに良くできていて、気を抜くとやられてしまうので警鐘を込めてご紹介する。
まずは
Apple
ケースID : 891827373755
誰かが別のIPアドレスからあなたのAppleアカウントにサインインしようとされました。
アップルコミュニティのセキュリティ規約に従って、あなたのID保護のためにアカウントをロックいたしました。お使いのApple IDのロックを解除するには、あなたの身元を確認することが必要です。
ロックを解除するため、お使いのデバイスから以下のリンクにアクセスください。
(ここにリンク先)我々が確認するまで、あなたのApple IDは使用することはできません。
Apple サポート
確かに僕はAppleユーザーでApple IDは持っているけど、そこはかとなく漂う「外人が書いた日本語感」に『ぷふっ』と笑って終わりの案件。
けれどこのブログを書くために(笑)、モノは試しとリンク先に飛んでみた。
すると…
左が跳んだサイトで、右が本物。見事にきれいにフィッシングサイトだった。多少のギコチナサは残るものの、全体的には良くできてるよね。
*僕は特殊なセキュリティ下でリンクを踏んでいる。
決して覗き見趣味でリンクを踏まないように!
次
楽天カード
件名に「カード利用のお知らせ」と書かれたこのメールだ。
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【重要】カスタマセンターからのご案内
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━平素は、楽天カードをご愛顧賜り誠にありがとうございます。
当社からの重要なご案内をお送りいたしますので、
下記内容をご確認いただきますよう、何卒お願い申し上げます。ただいま、お客様からの変更処理に基づいて会員登録情報が変更されました。
万が一、本メールの内容に覚えがない場合には以下までお問い合わせください。
(ここにリンク先)※このメールはお客様の会員登録の情報が変更されたことをお知らせする重要なご連絡です。
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<お問い合わせ先>
楽天カード株式会社 カスタマセンター
電話番号:0570-xxx-xxxx
(一部ご利用いただけない場合は092-xxx-xxxxをご利用ください。)
営業時間:8:15-20:40
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※このメールの送信アドレスは送信専用となっておりますので、
本メールへのご返信はご遠慮いただきますようお願いいたします。
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発行元 楽天カード株式会社
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これは日本語堪能な人の文章だね。
差出人も「楽天カード株式会社」なので、楽天カードを使っているウッカリさんだとクリックしてしまうかもしれない。
僕も楽天カード使用者なので一瞬「なんだなんだ」と思ったけど、問合せ先電話番号092って…「どこだよそれ!」と検索したら、福岡県糸島市。うん、リンクは踏まない。しまも僕は「やってみた君」のような勇者ではないので、電話もしてみなかった。
数日後、本家の楽天さんから『楽天カードを語る詐欺にご注意ください』というメールが何度もきたから、騙された人が一定数いるのかもしれなく、それを考えると憤慨しかない。
もちろん、ここもある。
LINE
最近アカウントが盗まれる事件が多くあり、当社はお客様のアカウントの安全を確保するために、ログイン保護を設置いたしました。その設置をよろしくお願い申し上げます。
こんにちは、このメールはLINEで自動送信されています。以下のURLをクリックし、ログイン保護設置手続きにお進みください。
(ここにリンク)────────────────
LINE
LINE Corporation
────────────────
最初のAppleを参考にしたのだろうか。「ちゃんとした日本語にするとこうなる」という見本のような文章だ。僕もLINEをしているから、ドキリとしなきゃいけないんだろうが、送信元アドレスをみるとxxx @ cc.japannetbank.co.jpとか…
LINE語ってるのに、アドレスはジャパンネットバンクってなんだよ!
と思わず突っ込んでしまったくらい。
他にも、DHLを語りつつ、「バカじゃね」送信元からうやったきた詐欺メールもある(詐欺メールコレクター並にやってきているのだ)。
ここまではいい。
詐欺だと分かる。困ってしまったのが、これ。
Amazon
ある日、「Prime会員向け購読プログラム「Prime Reading」へのご招待」という件名で、こんなメールが届いたのだ。
Kindle ダイレクト・パブリッシングをご利用いただきありがとうございます。
この度、AmazonのPrime会員向け購読プログラム「Prime Reading」(「本プログラム」)にお客様のタイトルをご招待したくご案内申し上げます。本プログラムは、著者の皆様とその作品を、Amazon を頻繁に利用しているお客様に宣伝することを目的としており、本プログラムにおいてAmazon プライム会員は追加料金なしで、対象となるタイトルの中から何冊でも本を購読することができます。Kindle ストアで、読者への露出度アップの機会としてぜひご利用ください。Amazon では、本プログラムを Amazon 全体で積極的にプロモーションしています。
(中略)
本プログラムへのご参加の可否について、(リンク先)にアクセスして必要事項をご入力いただき、リンク先の内容をよくご確認いただいたうえで「同意の上、参加します」又は「参加しません」を選択してください。ご参加の可否は2月27日までにご回答くださいますようお願いいたします。
招待コード:xxxxxxxxxxxxxxxxxx
基準日:2018年3月25日(後略)
僕は確かに電子書籍をAmazonで販売している。
上記のメールは、僕の電子書籍の中の一冊が「Prime Reading」という「プライム会員向け読み放題サービス」の掲載される対象本となった、というお知らせである。
そして参加の意思があるなら、リンク先へ行け、と。そのリンク先で、招待コードを入れろ、と。リンク先となっているアドレスは<https://books.au1.qualtrics.com/>から始まるもので詐欺臭い… が、
これ、どっちよ?
と、ここで僕は唸ってしまった。
けれど唸っていても本物か詐欺かは分からないので、とりあえず恐る恐る指定されたリンク先へ行ってみた。すると…
は? これで、Amazon? それにしてはしょぼくね? てかマジでこれ、どっちよ!
と、あまりにものシンプルさに、ここでさらに僕は唸ってしまったのだ。
もちろんいつまで唸っていても事態は解決しない。そこで僕はもっとも確実な解決策として「直接問い合わせ」をしてみた。すると…
Kindleダイレクト・パブリッシングにお問い合わせいただき、ありがとうございます。
Amazonにて確認させていただきましたところ、確かに、お客様宛に「Prime Reading」のご招待をお送りさせていただいておりました。
(後略)
という返信。
そう、本物だったのだ。
「いまの時代は本物の方が見てくれを気にしない」という説に一票を投じた出来事である。
詐欺の手口にやられないためには?
ではどうしたら、詐欺にあわずに済むのか?
一番確実なのは「顔を知っている人以外からのメールは絶対に信じない」というのが一番である。
が、楽天とかAmazonとか、「顔は知らないけれど使っている」サービスもあるのでいうのが僕の自衛方法をご紹介する
- まず大原則として、使っていないサービスのメールは開かない。
- 使っているサービスの場合、送信元のドメイン名をチェックする。本物のサイトのドメイン名と一字でも違っていたら開かない(たとえば楽天カードなら @rakuten-card.co.jp)。リンクのアドレスも同様である。
- ここまではキチンとしていて、でもなんだか疑わしい場合は、送信元のオフィシャルページから問い合わせる
以上の三点を気にしていれば、メール系の詐欺にはほぼあわない。いずれにしても「大手企業からのメールだからといって、すぐには信じない」ことが重要。当たり前のことだろうけど、その当たり前をまたリ前にやって欲しい。
詐欺はこちらの「心の隙」を絶妙に突いてくるからね。要注意、要注意。
illustration たかみまさひろ