マインドリーディング。
英語表記をすると「Mind Reading」、直訳は「読心術」。
つまり、人の心を読む技術ということだ。
こんな能力を歓迎する人間はいるのだろうか?
たとえばの話。
はじめまして、岸です。日本マインドリーディング協会という一般社団法人の理事をしています
僕がこう自己紹介すると、返ってくる反応は以下の3つのどれかである。すなわち、
マインドリーディングですか…心を読めるなんてスゴイですね
と言葉を発しつつ、身体からは眉唾オーラが強く放射されるパターン。
心を読まれるなんて、怖いです…
と、距離をおかれるパターン。あるいは完全にスルーされるパターン。
つまり、好反応はまったくない。
だって、誰がどう考えたって「心が読める」なんてウサン臭い。そういう看板を背負って人を騙す野郎どもが少なくないことも事実だし、トリックを使ってマインドリーディングをする「ニセモノ」もゴロゴロしている。
だから、「マインドリーディング」なんて言葉を語る人間に対しては、「油断するな! 気をつけろ!」という信号が無意識的に浮かび上がってきて、さきほどのパターンのような反応になるわけだ。
けれど、安心してほしい。
メンタリズムを使わない限り、心の中を完全に読むことなどできない。そして、メンタリズムは特殊な状況下でしか使うことができない。そのあたりは以下の記事に書いたので、気になる方は読んで欲しい。
マインドリーディング能力を持つ意味は?
じゃあ、マインドリーディングなど意味はないのか?
まさか!
意味あるに決まっている。
マインドリーディング能力を身につければ、目の前の相手の心がどの方向に動いているのか、かなり正確に読み取ることができるからだ。そしてかなり正確に読み取ることができれば、自分の望む方向に相手を誘導することが可能だからだ。
マインドリーディングは、超能力ではない。インチキでもない。人がホモ・サピエンスという種として持っている無意識的下の反応を元に相手の心の中を読んでいく技術だ。
あなただって、ドキリとすれば目が動くだろ? 心拍数が変化すれば顔色が変わるし、ストレスがかかると顔や喉などの自分の身体を触りたくなる。
それは僕もまったく同じだし、というか、この惑星に生きる74億超のホモ・サピエンスに共通する反応なのだ。そして、その反応が出てしまう無意識下の「心の動き」も人種や性別を超えて同じなのである。
僕が提唱しているマインドリーディングは、このホモ・サピエンスに共通する無意識の反応を見ることで相手の「心の中で何が起きているか」を推測する。そして、相手に「自分の望む行動」を取ってもらうために、相手の心の動きに添って自分の言動を変えていく技術だ。
つまり「相手の心の動きを読む」だけがマインドリーディングではない、と言いたいのである。
「読む」ことに加え、「相手の心の動き」が相手の行動にどのように反映されるかを推測すること、そして、自分が望む行動を相手にとってもらうために誘導することも含んでのマインドリーディングだと考えている。
その意味でマインドリーディングは
「Mind Reading」でもあり、
「Mind Leading」でもあるのだ。
いや、英語だと伝わり難いな。
僕の提唱するマインドリーディングを平たく言うと、「相手の心の詰め将棋」。
自分の願う行動をゴールとして、相手の心に添った言動をとることで一手一手詰めていくイメージである。それも相手が自分でも気がつかないうちに。
マインドリーディングに必要なたったひとつの能力
そのために必要な能力は、大きくいえばたったひとつ。
観察力である。
言葉は嘘をつく。だから僕は言葉を信じない。
その言葉を発しているときの、発している人の「表情」「態度」「声のトーン」「話すスピード」「視線」「手の動き」「足の向き」などなど、あるとあらゆるところを観察する。そしていつもと違うところを探すのだ。
あなたもマインドリーディング能力を身につけたいなら、観察力を磨いて欲しい。
磨き方は簡単だ。会話をするとき、相手に意識を全集中する。そして文字通り、相手の「一挙手一投足」を見逃さないよう、観察するのだ。
あなたがマインドリーダーでない限り、どんなに親しい相手でも、これまでそれほどまでに集中して観察したことはないはずだから、集中して観察すれば色んなことが見えるだろう。
もし何も見えなかったとしたら…
まだ観察できていないいうことだ。
だが、僕はこれまで「何も見えなかった」で終わった人に出会ったことはない。
誰もがマインドリーディング能力を持っている。自意識を封印して、相手に興味を持って観察する。そこには今までに見たことのない世界がある。
観察力を磨いて、あなたにも、その世界を覗いて欲しい。
illustration たかみまさひろ